春の風が木々を揺らし、森がサラサラと鳴く午後。
大きなトランクを抱えた見慣れないねこがひとり、森の中を歩いている。
暖かな日差しが差し込むひらけた場所に出たねこは
ぐるりと辺りを見回し、横たわった丸太の傍にドサっとトランクを置く。
丸太に腰掛け、大きなトランクからキラキラと光るものを取り出し並べ始めるねこを
木々に隠れて観察する森のねこたち。
「だれだろう」「あれ何かな」「キラキラ見えるよ」
ヒソヒソ ヒソヒソ 興味深々。
\ごきげんよう、ネコノ森のみにゃさん/
見知らぬねこが声を張り上げる。
「旅する彫金師」と名乗る彼は、世界中の珍しい石を集めて装飾品を作っているという。
今日はネコノ森にブローチを売りに来たようだ。
瞬く間にねこたちが集まり、ブローチは飛ぶように売れていく。
この日からキラキラと光る石のブローチはネコノ森の一大ブームとなりました。






キラキラブローチが流行っているネコノ森はきっとこんなことがあったのでしょう。
代価はどんぐりかな?
(※途中から面倒になったわけではない、決して。ええ、決して)